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森と川と海は一体

2004年(平成16年)3月1日(月曜日) 中日新聞
われら地球人

木曽川上下流が連携して水源林の保全をと、長野県南木曽町の林業に関心のある人らでつくる町林業研究クラブが、中京圏の住民に呼び掛け、林業体験を通して都市と山村の交流を続けている。会長の柴原薫さん(44)は「おいしい水を飲んだ時に、川上の人の山の手入れの苦労を少しでも分かってもらえたら」と話す。 (宮川 弘)

森と川と海は一体

森と川と海は一体

「水源の里体験実習」(中日新聞社後援)と名付けられた交流事業は、一九九二年から始まった。年に一、二回、名古屋市周辺の住民と地元の人たちが、町内の町有林や国有林で枝打ちや間伐で切り出した木を使って炭も焼いている。「名古屋から車で高速道路を飛ばして来るんですよ。一日作業をして汗をかき、満足して帰っていきます」と話す。
 実家は二百ヘクタールの山持ち。家業は、父の代から始めた製材業。東京の大学を卒業後、家に戻って仕事を手伝っている。「自分の山ぐらいはちゃんと手入れできるようになりたい」と、山造りについて学ぼうと仲間とクラブの活動を始めた。
 クラブは、一九九五年の阪神大震災に住宅資材を運ぶ支援運動にもかかわった。神戸市長田区では、古い木造住宅が地震による火災で焼けてしまった。「がんばれ神戸」と銘打って、住宅振興の柱材や壁材をトラックに積んで運んだ。「製材、木工業は不況業種だが、活動を通して木の持つ温かみや良さを
あらためて教えられた」と話す。
 「人の手で植えられた人工林は、下刈り、間伐、枝打ちといった手入れをしないと育たない。よく『木を切ることは自然破壊につながる』という人がいますが、密集状態でほっておくと”線香木”といって細長い木ばかりになる」と山造りの必要を説く。
 世界有数の森林保有国でありながら、価格が安いことから八割は海外からの輸入が占めている日本。「目の前にある木を切って使えばいいのに、わざわざインドネシアから持ってくる」と現状を嘆く。
 体験実習では、セラミックの原石を採取して砂漠化した山を、元の緑の山に戻すことに取り組んでいる。樹木医の指導で広葉樹を植え、その落ち葉で腐葉土を作り、さらに針葉樹も植えて『混交林』にする。「クズナラなどとともにヒノキやマツを植えます。また、酸性雨に強い山になるように、間伐材のクズ材を燃やして炭にして山にまきます。植林したのは三ヘクタールぐらいかなァ、やっと、山らしくなってきましたね」。
 交流事業を始めて十二年。「今では、木曽で開かれる講習会に、わざわざ名古屋から受講しにやって来るんですよ。小さな種が飛んできて、少しずつ育っていくようで、うれしいなあ」と山造りの大切さが理解されてきたことを喜ぶ。
 木曽谷の森でたっぷりと蓄えられた水が、木曽川を通って伊勢湾に注ぎ、太平洋に流れる。森に木が植えられ、落ちた葉が腐って土になり、そこで育った微生物が川から海を通って流れ、魚介類の栄養分となる。森が、生き物の命をはぐくんでいる。さらに人の命の源にもなっている。「森と川と海はつながっているんです。それを、普段の暮らしの中で気付いてほしい」と訴える。

南木曽町林業研究クラブ
林業に関心があったり、これから林業を始める町内の若者6人が1977(昭和52)年に設立。育林技術を互いに磨くうちに活動を強化。「山づくりは人づくり」と考え、上下流の交流事業「水源の里体験実習」や、小中学生を対象にしたシイタケ植菌、枝打ち体験などもしている。現在、会員数は約20人。木材関連業の他、町役場職員も多い。



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