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柴原薫「日本の林業は終わる その3」

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                南木曽木材産業(株) 柴原薫

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□ 木曽は山の中新聞 第366号 【2018年09月13日(木)】
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南木曽木材産業(株)柴原薫 http://nagiso.co.jp/

            ≪ 目次 ≫

[ 1 ]柴原薫「日本の林業は終わる その3」

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[ 1 ]柴原薫「日本の林業は終わる その3」

<その1>はこちら→ http://blog.nagiso.co.jp/?day=20180830
<その2>はこちら→ http://blog.nagiso.co.jp/?day=20180906


◆理想的な山は何か
すごい話を聞いたことがあります。NPO法人『日本に健全な森を作り直す会』というのがあり、委員長が養老孟司先生です。ある時、養老先生が私に、「柴原君のお父さんが一生懸命植林をした山は健全な森ではない」と言われたことがありました。その時、私は自分が正しいと思っていた価値観がぶち壊されたように感じがしました。理由を聞くと、
「皆伐した山に、とげとげの生えたタラの芽のような芽が最初に生えるのだ。その後に80年前に眠っていた種子が、その時を待っていたかのように自生してくる。その後に鳥がやってきて糞をして、そこに新しい森林になってくる。それが健全な森だ」と言われました。また、健全な森はちょっとやそっとの雨では土砂が流れない、とおっしゃるのです。

「柴原くんのお父さんの山は残念だが、見てごらん。少し流れてるだろう」

確かにそうなのです。とくに一斉植林した山は侵食されて大雨が降ったら流れやすく、親父の山も場所によっては4割ほど土砂崩れが起きています。『森は海の恋人』という本を書いた畠山さんという有名な牡蠣の養殖者がいます。牡蠣が太らなくなったのは川上からプランクトンが流れてこなくなったからだと考え、大漁旗を持って川上に植林をする活動を始めた方です。実は、養老先生はその畠山さんの活動は健全な森ではないと言われました。「植林をせずに放置をしておいた方が、鉄分が流れ、ミネラル豊富な水が流れる」と。私は養老先生の話を聞いて大変驚き、考えさせられました。

でも現場にいる私の結論としては、親父が植えた植林した山が一番良い山だと思っています。親父の山は混合林と言って、ヒノキ、桜、朴の木、ケヤキなどいろいろ植えて山を作っていました。どういうことかと言うと、ヒノキぼっかりの山だと輝かないのです。ヒノキの横にケヤキや桂など他の木があると、それらの樹脂や葉っぱの栄養分をもらって育つので、輝き方だけでなく、香りも全く違ってくるのです。養老先生のおっしゃることも、もっともなことかも知れませんが、私は親父がやってきた植林は素晴らしいことだと思っています。


◆職人を生かす日本人になろう
このような状況の中で私たち木こりは生活をしているわけですが、1年半くらい前に鍵山秀三郎相談役に依頼され、昔イエローハットの本社があった場所の前の土地に三階建ての木造の賃貸住宅を建てさせてもらいました。全てヒノキ、壁は全て漆喰、床は新月伐採の栗。多くの職人さんに関わっていただき、すばらしい家が出来上がりました。一度見に果てください。今度、10月10日号の雑誌『サライ』に「私の朝食」というコーナーで鍵山 幸一郎さんと一緒に載ります。また、伊勢志摩サミットの時には、公式の酒器に選ばれました。職人さんが削ってガラスのように透けて見えるヒノキのグラスです。でも、良いものだからといって売れるとは限らないのです。職人さんがやるとやはり高くつくからです。

しかし、こんな職人さんもおられます。奈良市にある和菓子屋「樫舎」の喜多 誠一郎さんという和菓子職人です。1個400円の和菓子を売っているのです。彼は十勝まで行って農家と一緒に大豆を生産して、それを自分で使って、昔ながらのやり方で作っているのです。さすがにとても美味しい。でも1個400円の和菓子。「これは売れないでしょう」と言うと、喜多さんは、「それが、売れて困る」と言われるのです。そんな喜多さんの信条はこうです。「安いことは嬉しいけど正しくない。そんな生き方をしたくない。だから自分が十勝まで行って大豆の生産をやって、これが和菓子だ!という文化を伝えたい」
こんな喜多さんの和菓子は春日大社の行事では毎年注文を受け、さらに歌手のさだまさしさんも応援されています。歌を歌った後に、「私、和菓子が大好きでね。喜多さんという方がいて、あのお菓子はすごくうまいんだ」という話をしてくれるそうです。

私は、喜多さんのような想いを持ってやっている人は、きっと神様が応援してくれるのだろうと思いました。正しく、誠実に生きていればそういうことがあるのだなあ、と思います。いつの間にか日本人の心を忘れて経済、利益最優先になってしまったのはなぜか…。これについて、さだまさしさんが、次のように教えてくれました。

「例えるなら、毎年、1度ずつ傾いていって、知らない間に25度も傾いてしまっているんです。そして、それが当然のようになってしまったのが今の日本なんだ。だから、気づいた時に、気づいた人が戻そうとしなければいけない」

その言葉に励まされて、「俺は戻す!」と語っています。

<来週に続く>

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南木曽木材産業株式会社

効率や採算性が重視される時代になっても、私たちは頑なに、
家づくりのすべてを提供しております。なぜなら、これが一番、
お客さまに安心していただけるからです。植林して、間伐し、
製材して、家を建てる。すでに私たちは五十年近く、同じことを
続けております。家は一生の財産。お客様の夢を、柱一本から
実現できることが、私たちの誇りです。

代表取締役 柴原 薫
info@nagiso.co.jp

[柴原のブログ] http://blog.nagiso.co.jp/

〒399-5302 長野県木曽郡南木曽町吾妻1187
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